有酸素運動は20分以上やらないと脂肪は燃えない?AT値とは

「ランニングは20分以上走らないと脂肪は燃えない」という話をきいた事はあるでしょうか?

これは厳密に言うと「間違いではないが正しくはない」。

運動するためにのエネルギーには大きく分けて2通りのエネルギー、糖質と脂質があります。どんな運動でもこの両方が使われますが、心拍数が低い運動ほど脂質割合が高く、心拍数が上がりキツい運動になるほど糖質エネルギーの割合が高くなります。

運動しはじめは心拍数が低い状態から高い状態まで加速する必要があるため糖質エネルギーが多く使われペースが安定してくる所で脂肪の割合が増えます。その安定するまで「だいたい20分くらい」と考えれば良いでしょう。

しかし逆に言うと、そんなにいっきにペースを上げなければ最初から脂るのですが、なかにはそんなゆっくり長くなんてやってられんわい」という方もいます。

なのでスローではなく「速い」ペースで走るランニングも実は脂肪燃焼には効果的です。確かに糖質燃焼割合も高くなりますが、一方で糖質が燃焼されると代謝物質として「乳酸」が産生されます。脂質割合が高い有酸素運動では運動中に血流によって肝臓に運ばれます。最大心拍数の50%程度の強度では脂質と糖質の割合が50:50くらいですが、心拍数が高くなるだんだん乳酸の産生量が上がってきます。

そして運動強度が60から70%くらいまでくると「無酸素運動」に突入し乳酸量が急上昇し始めます。この閾値を「AT値」、乳酸が急上昇する閾値を「LT値」と呼びます。

このAT値(もしくはLT値)は中強度以上の有酸素運動でトレーニングする事で向上することができます。AT値が向上すると、心拍数が高くなっても乳酸の産生量が急上昇せず運動強度が高いまま脂肪燃焼割合を多く維持できます。つまり消費カロリーは短時間でも運動強度が低いLSDよりも多くなるのです。

なのでウォーキングやゆっくりジョギングばかりではなく、20から30分くらいのガチランニングも週に2回ほどやるのもいいと思います。